雫は席を立って素麺を茹で始める

「雫ちゃん、素麺?」

「うん、竜二さん、空いてるお皿下げてきて」

「わかった」



「竜二が動いてる(笑)」

「うるせーよ(笑)」

「一人の女でこれ程変わるかね?」



雫はみんなに素麺のダシを配る

「おっ、素麺?」

食欲旺盛な広樹がすぐに手をつける



「はい、竜二さんのリクエストです」

みんなで素麺をすする

「うめえ」

「うん、美味しい。手作りのダシ」

「だろ?」


竜二は得意気にみんなに勧めていた


みんなはお腹いっぱいになり横になる者もいた

「もう、食べられないし呑めないお腹はち切れそう」

「店より食った気がする」

「確かに(笑)」



「あー、明日仕事だから俺そろそろ帰るわ」

「貴志(たかし)はそうだな、いつも悪いな、土曜日がどうしても多くて」

「いや、大丈夫。それこそ、店に一番に出なくてよくなってきたから」



「お店やってるんですか?」

雫が聞いた

「貴志は美容師なんだよ」

「へえ」



「雫ちゃんの髪もカットしてあげるよ。ご指名お願いします」

名刺を渡す



「えっ、ここって有名なお店……高いところですね?」


「竜二と一緒に来るといいよ、竜二に支払いしてもらうといい(笑)」

「いいよ」



「貴志もだいぶ指名増えてきたよね、予約が取りにくくなってきたし」


「おかげさまでな(笑)綾にはいつも指名してもらってるから」

「私、短いからさ、やっぱりショートカットは月一くらいでいかなきゃね、襟足が気になっちゃって」


「俺とほぼ同じ頻度じゃねーかよ」


「竜二さん、いつカットに行ってるのかわかんない(笑)」


「貴志の一番最後が空いてる時に行って食事して帰る」

「なるほど~」


「雫ちゃん、今度行こうね、貴志の店」


「ヘッドスパしてあげるよ。気持ちいいよ」



「あれは気持ちいいわよ、雫ちゃんお勧めするわ」

「贅沢ですー」



「あっ広樹、起きろ。お前寝たら運べないんだから」

広樹は大きな背伸びをした

「あー、眠い。そろそろ帰るか」


「電車まだあるか?タクシー呼ぼうか?」

「ギリギリいけそう。出るか」


皆は重い腰を上げて帰っていった