雫はもう一品作り焼酎を歩(あゆむ)に渡して竜二の隣に座った


「よく見てるね、ありがとう。えっと……竜二、俺らも雫ちゃんて呼んでいいのか?」

「えー」



竜二は露骨に嫌そうな顔をした


(竜二さん、そんな顔もするんだ(笑)友達といると色んな顔が見れる。かわいい……)

「お前は何で自分の女なのに呼び捨てにしてないんだ?」

だいぶ酔ってきた広樹が口数が多くなる



「そうよ、竜二が呼び捨てにしてないなんて逆に貴重なくらいだからね、この人は名字覚える方が苦手な人だから」

綾も絡んできた



竜二と雫は顔を見合わせた



「何かイメージかな~、年も離れてるし可愛いんだよね。雫!っていうより雫ちゃんって感じしない?俺の店で雫ちゃんは見つけたんだけどお客さんは雫ちゃんのことを若ちゃんて呼ばれてるんだよ」

「若ちゃんも可愛いけど名字で呼んでたら結婚したら名字が変わるじゃん」

広樹が竜二にビールを注ぎながら言う



「そうだなー」

「名前でいいですよ(笑)」

「雫ちゃん……」

「いいじゃない、呼び方くらい」

「じゃあ、俺が雫って呼ぶ」

「別にいいけど……佐和子さんも呼び捨てだし……」


「ん?佐和子さんて?」

「えっ、自分のお母さんの名前でしょ」

「何で?」

「えー、だってお母さんて呼ばないで名前で呼んでって言われたから」

「いつの間に……」



みんな、大笑いする

「竜二、お前のイメージ変わったわ」

紀之がお腹を抱えて話す

「そうそう、いつもかっこつけの竜二が雫ちゃんに敵わないって、メロメロだな(笑)」

広樹のつっこみも入る



「うるさいよ、お前ら」



俊(とし)が口を開く

「雫ちゃん、竜二ね、いつも呑みに行っても格好つけてるんだよ。足組んでふんぞりかえってる」



「でも、いいと思います。それが竜二さんらしいなら……人に迷惑かける態度は駄目ですけど、みなさんの前だけならきっと気を許してるんじゃないでしょうかね。お仕事でいつも謝ってますし」

「なんて、いい子なんだ。雫ちゃん感動したよ。美咲と別れて正解!」



「ちょっとー、ひどい……でも私この間竜二に謝られたんだよ、びっくりしたよ」

「雫ちゃんの言うことなら聞くよ」

「絶対亭主関白だと思ってたのにな」

広樹が竜二の肩に手をまわす