(おっ)
母はびっくりした


「だってね、食事だってそんな高いこと連れていかなければいいし、車も高いの乗ってるからお金あるって思われるんでしょ?」


「そうか……まあでも昔はそういう場所に連れていって女を判断してるとこもあったしね、実際雫ちゃんはしっかりしてるし、ちゃんと料理するし、だいぶ食費が浮いてるよ」

「若いのに料理するんだ」



「好きなんです」


「竜二がそんなにプレゼントをしたがる女の子に出会ったって事だから有り難くいただいときなさい(笑)趣味もあんまりないし、車しか興味ないんだから」



「竜二さん無趣味?家では難しい本読んだりテレビ見たりくらいだよね」

「仕事やってたら本読むようになったかな~今は本読むのは基本好き。他にも趣味あるよ」

「何?」

「テニス」


「でもテニス行くって聞いたことないし、ウェアとか洗濯もしたことないよ?」



「もうすぐ始めるよ。忍と一緒に毎年秋に大会があるんだよ。それに出るんだ。だから今度集まるの」

「そうなの?」

「そう」



「そういうことらしいです(笑)」

「雫ちゃんは趣味は?」

母親が尋ねてきた


「私はですね、家事全般です」

「珍しいわね(笑)」

「何か家事してると落ち着くんです」

「私は苦手ね」



「雫ちゃんの料理は美味しいよ」

「今度食べさせてね」

「はい!」

「ヨガは興味ない?」

「ありますよ。背筋が伸びそうで気持ちよさそうです」



「よし、行ってみよう」

母親は立ち上がった

「えっ、おい!」

「これに着替えてきて」


服を渡された



「竜二さん、私やってみたい」

竜二は時計を見た



「じゃあ一店舗顔出して仕事終わらせてくるからここにいるんだよ」

「いいの?」



「母さんには逆らえない……母さん、雫ちゃんいじめないでよ」

「いってらっしゃい〜」


(はあ、さっさと仕事終わらしてこよう)




夕方、竜二が戻ってきた

「あっ、竜二さんお疲れ様。お仕事終わった?」


雫は竜二の姿を見ると駆け寄った

「終わったよ、ヨガはどうだった?」

「楽しかったです。これウェア頂いたの」



「通うの?」

「うん、駄目かな?」



「月曜しか空いてないだろ?俺が雫ちゃんといたいのに……」

「竜二さんが帰ってくるまでに終わるから、ここなら大学から電車で通えるし……駄目?」



「さっき、雫ちゃんのおねだりは聞くって言ったばかりだしなー、まあ、雫ちゃんがやりたいのならいいけど……母さんに無理やり言わされてない?」

「言ってないわよ(言ったけど)」

「わかった。でも月曜日教室終わってから雫ちゃんを誘わないでね」

「今は夏休みなので夕方までなら来れます」

「いつでもいらっしゃい、私がいない時でも出来るように手配しておくわ」

「ありがとうございます」


(まあ、楽しそうだし……いいか)

二人は車に乗りマンションへ帰った