朝六時に竜二のタイマーが鳴る
竜二は止めてゆっくりと雫から離れる
(疲れてるか……夕べ遅かったし)
静かに家を出た
雫は目を覚ました
(えっ、何時?)
時計を見ると九時前だった
(私、携帯……)
まわりを見渡してリビングに置いてきたことを思い出す
リビングに携帯を取りに行くと竜二からメールが入っていた
‘おはよう、疲れてるようだから起こさなかったよ。店舗見てから戻るから昼は例のものよろしくね’
(竜二さん……ありがとう)
左手の指輪を見た
(炊き込みご飯つくらなきゃ)
着替えて買い物に出掛けた
サクラスーパー中央店
竜二は店舗の駐車場とトイレ、喫煙所を店長と見てまわる
「部長、おはようございます」
「おはよう、昨日はお疲れ様」
「いえ、部長もお休みだったのに結局すみません。店長もありがとうございました」
山口は二人に頭を下げた
「予想外の人でびっくりしましたね」
「しばらくお客様の声を集めておいて下さい」
「はい」
「昨日のキャリーは助かったな。お礼をしておいて下さい」
「わかりました」
「評判がよければ来年もしましょうね」
「やっと山口が一人前になってきたかな(笑)」
「まだまだです。彼女さんにも申し訳なかったですね」
「楽しかったみたいだよ」
「浴衣で動いてた方ですか?」
「そうみたいです。私が地下にいる間、何か色々してたみたいで……」
「私も浴衣着てるのは売り子だと思ってたんですが枝豆持ってくるし、社員証はかけてるしおかしいなと思ってたんですよ。若い学生に見えました」
「学生ですよ(笑)三沢店のバイトなんですよ」
「それで置いてある物とか把握してたんですね。ゴミとかもしてもらってたみたいで」
「どこの店舗でも大体同じ造りだからわかったんでしょうね」
「もっとお話したかったです」
「いつでも、遊びに来るといい」
「ありがとうございます!」