「竜二」



「親父、母さん」

(えっ!)

雫は立ち上がって頭を下げる

ゴクンと枝豆を飲み込む

「若宮雫です」

父は雫に座ってと手を差し出す

雫はドキドキしながら座った

「来てたんだ」



「企画がお前の名前になってたから様子を見に来た。凄い人が集まったな」

「うん、でも日が足りなかった。もっと詰めなきゃ、甘かった」

「そうだな、来年はもう少し準備期間が必要だな」

「はい」

「彼女か?」

「うん」



「彼女が一番よく動いていた。客の動きをわかっていた。私達にも座る場所を作ってくれて声もかけてくれたよ」

「そうなんだ」

「裏も必要だけど表もちゃんと見るんだな」

「月曜日に今日のこと報告に行く」

「わかった。じゃあ帰るよ」

「竜二、父さんの後、母さんの所にも来てね」

「はい」



二人は帰っていった

「雫ちゃん」

「はい」

「雫ちゃんの家の挨拶より俺の方が先になった」

「はい(笑)」

「月曜日、一緒に来てくれる?」

「はい、ん?夜?ですか?」

「昼」

「わかりました」



「九時だ、帰ってゆっくり呑みなおそう」

「そうですね」

「せっかくの誕生日に働かせてごめん」

「いいえ、私も名札入れて来ましたし、竜二さんだってそうでしょう?」



「不安は確かにあったから」

スタッフが片付けにとりかかり始めた



「竜二」

「美咲か、お疲れ」


「お疲れ様でした。マジックとかありがとうございました」


「こちらこそ、甘く見ててごめんなさい」

「美咲と話したの?」



「さっき言ったじゃないですか。紙とかマジック借りに言ったって、イベント会社なら持ってるかと思って」

「元カノって言ったじゃん」


「知ってますけど、必要だったから借りたんです。仕事中に元カノとか関係ありません。これからもいい企画をお願いします」

美咲に頭を下げる



「こちらこそ(笑)可愛らしいわね」

「竜二さん、謝るんでしょ?」

「あっ、悪かったな怒鳴って」

「ううん、目が覚めた。ねえ、彼女企画に入れない?」

「駄目」

「そっか……じゃあ、またね」


「ああ……雫ちゃん帰ろうか?」

「はい!」



「山口、帰るな。明日の朝様子見にくるから」

「お疲れ様でした。ありがとうございました」


山口は深々と頭を下げた


二人はタクシーでマンションに帰る