竜二の電話が鳴る、真木からだった

「部長どこですか?」

「地下の駐車場だ」

「私、今来たんですが」

「どんな様子だ?」


「まだお客さんは来てますね。私も今到着なのでこれからは仕事帰りの人が多いかもですね。

帰ってる方もいますよ。地下で何をされてるんですか?」

「座る場所が足りないから近くの人にキャリーを借りたんだ。運んでる」

「そうですか。では売り場の方を見て来ますね」

「頼む」



また電話が鳴る

「部長、彼女は?」

「どこかでうろうろしてるはず、じっとしてることができない子だから……水色の帯を巻いてる」

「わかりました」


雫は店に入って缶チューハイを二ケース台車に積んでレジを通してもらい売り場のケースに入れる



「チューハイ入った。もうすぐ交代だから飲もうよ」

「うん」

売り子達の声を聞いた

雫は嬉しそうに台車を返しにいく



(あっ、水色の帯、台車?)

真木は売り場を見る


(チューハイが入ってる。あの間に……)



「山口、一度上へあがるぞ」

「スタッフの交代の時間ですね。お弁当配ります」


二人は売り場に向かった

山口はスタッフに声を掛けて交代を告げていく



「あの、さっきチューハイ入ったので呑んでもいいですか?」

「いつの間に?」

「さっき浴衣の子が入れていきました」



(雫ちゃんか、全く……)

汗を拭う

「構わないよ、呑んでくれ」

「はい」



「ビール届きました」

「山口、お前も弁当食っとけ」

「はい、すぐ食べてきます」


雫はトイレへ向かい男子トイレに入っていく



(雫ちゃん、おいおい)

竜二は雫を見付けてトイレに急いでいく

「雫ちゃん!」

「あっ、竜二さん落ち着きました?」

「スタッフが交代の時間だから一度上がってきたら男子トイレに入っていくのが見えたからさ」



汗をかいてる竜二にハンドタオルを渡す雫


「お掃除してました(笑)。女子トイレもしてくるので少し待ってて下さい」

「浴衣汚れるよ」

「大丈夫です、衛生面大事です。トイレ汚いと印象が悪くなります」



「わかった。待つよ」



雫がトイレから出てくる



「二回したのであとは終了まで大丈夫です」

竜二は雫に抱きついた

「もう、参った」

「竜二さん、みんながいます」



雫から離れる


「今山口に弁当食わせてる。もう俺らも食べよう」

「はい!」

抱きついた時に首に社員証がかかっていたことに気付いた

「雫ちゃん、名札持ってきてたの?」


「はい、昨日帰りに持って帰りました」


「もう、なんだよ、予知能力でもあるの?雫ちゃん」

「さあ(笑)」