雫のアパート

雫は着替えてアパートの外で待っていた

一台の高級車が停まり竜二が出てくる


「お待たせ、どうぞ」

助手席のドアを開けて雫をエスコートする

(……慣れてる)



車を走らせる

「何か食べたいものある?」

「いえ、特に好き嫌いもあまりありません。お任せします」

「ん、わかった」



車を二十分程走らせてフレンチレストランへ向かう





レストラン店内に入ると店員に個室に案内される

「適当に頼んでいいかな?」

「はい」

ウェイターに注文する


雫は何もわからず緊張していた


(こんな高そうなお店来たことない)

「お酒は呑める?」

「あっ、はい、多少は」

「じゃあ軽めのシャンパンと水を」

「かしこまりました」

「えっ、私もお水でいいですよ」

「今日は車だし、また今度飲むよ」



少し間があった


「えっ、また?あの、あの……」


とまどっている雫の姿を見て竜二は笑う


「明日大学は?」

「午後からです」

料理が運ばれてきた


「じゃあ沢山飲んで(笑)乾杯」

「いただきます。こんな高そうなお店来たことないです。」

「居酒屋と迷ったんだけどここならゆっくり話せると思ってね。周りに人いないからそんな緊張しないで大丈夫だよ」

「はい、美味しいです。あの、何故私なんか誘ってくれたんですか?」

「んー、君に興味が湧いたから……かな?三十分じゃ話足りなかった(笑)若返った気分だね」



「失礼ですがおいくつですか?」

「二十八歳だよ、もう若宮さんから見たらおじさんかな?」

「いえ、お若く見えます。前髪おろすと特に……」

「仕事の時は年上の人が多いからね。きちんとしとかないと、と思って気を付けてる。若宮さんと話してると気が休まってとってもいい気分だ」

「大変ですね」

「もっと呑んで……大学のことも聞きたいな」



竜二は空になったグラスにシャンパンを注いでいく

「今、三年です。夜はバイト毎日入れてるのでこんな食事とか久しぶりです」


お酒が入って雫は頬が少し赤くなってきた


「一人暮らししてるの?」

「はい、実家は県外ではないんですけど、車で二時間くらいかかる田舎なので通うのは少し不便で駅までも時間かかるので」


雫はお酒の力も借りて竜二と楽しく会話してあっという間に時間は過ぎていった