コンコン
店長が入ってくる
「あの、もうお時間ですが……」
竜二が時計を見ると三十分以上過ぎていた
「早いな(笑)すぐ終わりにします」
店長は部屋を出ていった
「すみません……長々と」
「いや、色々な話が聞けたし、もっと話をしたいんだが……若宮さん、この後食事でもどうかな?話の途中だったし、次は違う店舗の面接になるから三沢店には暫くこれないんだよ」
「えっ、食事ですか?」
「うん、用事ある?」
「いえ、帰って寝るだけですけど……でも私の話なんて……」
「うん、聞きたいな」
竜二はニコニコした笑顔で雫を誘った
「店長と少し話があるから家に帰っていてくれる?住所みたらここから近いよね?」
「はい」
「職権濫用かな?駄目?」
雫は竜二の誘いを断る理由がなかった
「わかりました」
「じゃあひとまずありがとう」
「失礼しました」
雫は部屋を出ていった
「お疲れ様でした」
「疲れました(笑)、これお返ししときます」
書類を返す
「このお客様に誉めていただいてたのは若宮さんでした。店の中で私に気づいたのも……」
「あの子は本当に人気があります。大学生ですが辞められると痛手です」
「そうですね……では私はこれで失礼します」
「お疲れ様でした」
店長は竜二を見送った
(部長なのに全然偉そうじゃなくて私らにも敬語で話してくれる。あの若さで部長になる理由もわかるな)