サクラスーパー三沢店 店長室
朝から面接が始まった
「ちょっとー、部長さん、イケメンだったわよー、あっ次の人どうぞって」
「じゃあ、いってきます」
面接を終えた店員が皆に嬉しそうに話していた
「優しい言葉もかけてくれてねー、仕事頑張ろうって思った」
「私明日だ、楽しみ!普段会えないもんね」
「あの若さで部長なんてすごいわ」
従業員に竜二がイケメンで優しいという情報が三沢店では流れていく
そして面接最終日、竜二は昼休憩をとっていた
「お疲れ様です」
店長がコーヒーを入れて持ってきてくれた
「疲れました(笑)」
「どうですか?」
「人の話を聞くのは疲れますね、いいことばかりじゃないですからね」
「まあ、どこの会社も不満はあるでしょうからね。二週間お疲れ様でした」
「お客様あっての商売ですからね、店の評判はすぐ広まります。改善できるところはすぐにしないと、指導が必要な人もやっぱりいますね」
「そうですね、ベテランになると私の言うことも聞かないですからね。部長が言ってくれたほうがいい場合もあります」
「なるべく聞くようにします。店長も何かあったらすぐ連絡下さい」
「わかりました」
その後も面接は進み時間は夜の八時を過ぎた
(あと一人か……例の彼女だな)
コンコン
「どうぞ」
「失礼します」
「どうぞ、座って下さい。部長の真中です」
「はい」
椅子に座って顔をあげた
「あの、どこかでお会いしたような……」
「ああ」
竜二は前髪をくしゃくしゃと手ぐしでおろした
「あっ、この間からお買い物に来てた方……」
「さすがよく覚えているね、若宮雫さん。今は仕事中だから髪戻すね」
竜二は前髪をかきあげた
雫はその仕草にドキッとする
「さて、話を聞きたいんだが……」
「はい」
「これは君かな?」
竜二はお客様の声の紙を雫に見せる
「あっ、はい、すみません!お客様を勝手に止めてしまって……もう閉店近くでお客様が少なかったので」
雫は頭を下げた
「いや、気になってたんだ。ちゃんとお客様のことを考えられる若い子がいるんだと思って……お客様をよく見てますね?この間から三沢店をウロウロしていたのに私に気づいたのはあなただけです」
「私の時間帯は仕事帰りの方が多くてだいたい同じお客様が多いので逆に部長に気づいたのかもしれません。じゃあお客様と話しているのも見られてますよね?」
「そうだね、見たし、耳でも聞いたね。でも待たれてる方に迷惑じゃなければ多少は構いませんよ。実際にそれを喜んでいる方もいらっしゃいました。若ちゃんと呼ばれてるんですね」
「はい」
「他に色々君の意見を聞きたい。話してくれるかな?」
「はい」