竜二は自分の部屋に戻った
「悪い、コーヒーを頼む」
真木にそう言って椅子に座る
暫くして山口が部屋を訪ねてきた
「あの、企画書をコピーしてきました」
「別にそっちで進めてよかったのに」
「一応、いい企画ではあったので意見を伺いたくて、アドバイスとかいただけたら」
「アドバイスねー、さっき軽くは目を通したんだがな。まあ集客はできるがどの店舗でやるかを決めないと……夏祭りねー」
「全店舗は難しいかと思います」
「……だろうな。広い店舗とうちの商品が売れなければ何もならない。イベントだけ開いても場所貸すだけじゃな」
「今晩呑みに行きませんか?日がないので詰めたいんです」
「わかった。後で店は連絡する」
「はい、失礼します」
「これをもう一部コピーしといてくれ」
真木に渡す
「はい」
竜二はコピーを受け取り
「今日は直帰する」
「かしこましました」
竜二は二店舗を回り時計を見た
(汗かいたな、一度帰って着替えるか)
竜二は一度マンションに戻ってきた
雫の靴があった
音がして雫が玄関に出てくる
「どうしたんですか?体調でも?」
「いや、飲み会が入ったから直帰にしたんだ。仕事早く終わったから着替えようと思って、シャワーするよ」
「はい、スーツですか?」
「いや、社内の後輩だから、シャツだけでいい」
「わかりましたー」
竜二はシャワーから出てきた
「何作ってたの?」
「酢豚です」
「(笑)俺の好物だ」
「じゃあ冷めてから冷蔵庫入れときますから明日食べてくださいね」
「味見したい」
「じゃあもう少し待ってください」
暫くして出来立ての酢豚が出された
「いただきまーす。熱っ、旨い!」
「よかった(笑)」
「あっ、これ読んでみて」
企画書を渡す
「気付いたことあったら書いて……旨い…今日企画の後輩と呑むんだけどアドバイスくれって言うからさ、女性目線とかない?」
「夏祭りですかー、そうですねー、人は集まりますけどこれだけじゃ……」
「うちの商品を売らないと意味ないだろ?まだこれはイベント会社の企画だけなんだ。これからうちがどういう風に持っていくかなんだよ。日がないからね」
「ですねー、主婦目線ならもうここで夕食は済ませたいなと、子供が遊べるものがないと……子供が行きたいって言わないと親は動きませんからね。ビールは絶対必要だし、神社のお祭りなんかは屋台が出ますけどそれならうちで唐揚げとか出せますしね。いつものお惣菜の中から何品か作って食べれますよね」
「イベント会社の企画だからそれぞれの売上も分けないといけないしな」
「ですねー、出来れば食べる場所も広く取れば売れるんじゃないですかね。日があるなら二週間3000円以上お買い上げの方にガラガラくじが引けるように抽選券配ったら当日前から売上も伸びますし、子供はくじを喜びますよねー」
「何でそんなにアイデアが出てくるの?」
「えっ、やってるとこありますよね?旅行券が抽選で当たるとか……でも普通に景品でお米五キロとかビールを一ケースとか嬉しいですよ(笑)」
「雫ちゃんおかわり」
「はい(笑)」
おかわりの酢豚を持ってくる