サクラスーパー本社ビル
竜二の席に内線電話がかかる
「はい、真中です」
「一階受付です。部長にお客様です。アポはとってないそうです。名前は進藤美咲(しんどうみさき)様という方で名刺をお持ちです。お通ししますか?」
(美咲?)
「いや、下に降りる」
「かしこまりました」
部長室を出ると専属の秘書で真木(まき)という女性が座っている
「受付に客が来てるから行ってくる」
「はい」
エレベーターを下りると受付が立ち上がり美咲の方を手で案内する
竜二は受付に軽く手をあげて、ありがとうと声をかける
「美咲?何か用か?」
「今日はちゃんと仕事の話よ。こちらのスーパーで夏休みイベントをしてもらえないかと思って」
企画書を竜二に見せる
「俺は総務の人間なんだけどな、企画に言えよ」
軽くパラパラと書類をめくっていく
「そうなの?でも知り合いから入るのもいいでしょ?使えるコネは使わなきゃ(笑)じゃあ、企画の人に会わせてよ」
「全くお前は……」
目を通した
「そっちにとっても集客できるからいいでしょ?」
「企画の人間が駄目だと言ったら俺の名前出しても駄目だからな」
「ありがとう竜二、あっ部長(笑)」
「ちょっと待ってろ」
竜二は企画部へ顔を出す
「山口!ちょっと来てくれ」
「はい」
「今一階ホールにイベントの企画を持って来ている会社がいる。会って話を聞いてやってくれないか?」
「部長のとこに行ったんですか?」
「ああ、大学時代の友人だ。俺に関係なく企画部として駄目なら断ってくれて構わない。ちゃんと言ってあるから」
「はい」
「企画部長には言うなよ」
「はい、行ってきます!」