竜二のマンション

竜二がリビングから呼び掛ける


「雫ちゃん、土曜日用事あるの?」


「はい、オープンキャンパスがあって、お手伝いをしないといけなくてですね、友達と一緒にするんですよ。その後食事に行くのでバイトもお休みいただいてます」



「じゃあ、金曜日にバイト終わったらこっちに帰っておいでよ。ここからなら歩いて大学行けるだろ?自転車は呑んだら乗れないし」

「あー、そうですね。そこまで考えてませんでした(笑)」

「荷物夏休みに運んでね」

「はい」



カレーがダイニングテーブルに置かれ、竜二は移動した

「いただきます」

「いただきます」

「旨い!ねえ、雫ちゃんはいつから料理するようになったの?」

「そうですねー、私の母が弟を産んだ頃ですね。高齢で産後も調子が悪くて自然とするようになって……中学くらいですね」

「いくつ離れてるの?」



「十二才です。私産まれた後、二人目なかなか出来なかったみたいで……弟の離乳食も作ってました。食べてもらえるのが嬉しくて」

「雫ちゃんてさ、商品のバーコードの位置どこにあるか覚えてるよね?」

「えっ、何で知ってるんですか?」



「だって、バーコード通しながらお客と話してるでしょ?」

「そこまで見てたんですか?」

「そりゃ、雫ちゃんを見てたんだからね。列が早くはけるのは何でかって思ったもん。雫ちゃん見てると改善するとこが浮かんでくるんだよ」



「母が調子悪い時、レジに並ぶのが辛いみたいでなるべく早くと思ってて……」


「俺としてはそういう貴重な意見が欲しいんだよね。女性にしかわからないことまだまだ沢山あると思うんだよね。また聞かせてほしいな……あっ雫ちゃんを利用して付き合ってるんじゃないよ。そこは勘違いしないで、本当に好きだからね…………ご馳走さま」



竜二は真っ赤な顔を隠すようにリビングに向かった



(俺、好きだって言っちゃった。何で今さら照れるんだ?あー、恥ずかし……自分で言うの恥ずかしいな、今まで軽く言ってたから何とも思わなかったけど本気でって……)



竜二は後ろをチラッと向いた



雫は両手で赤くなったほっぺたを押さえていた