次の日から仕事の合間をぬって私服に着替え店内をウロウロしたり買い物をしたりする
夕方の客が多い七時頃になってきた
(ん?何で客はレジが均等にあるのに一つだけ長い列が出来てるんだ?普通バラけるだろう)
気になった竜二は長い列に並んでみることにした
(進みが早い!)
レジ打ちを見ると若い女の子だった
「こんばんはー、お仕事お疲れ様です」
「疲れたわ~今日は手抜きよ(笑)」
「たまにはいいじゃないですか(笑)」
「よねー、ありがと」
「ありがとうございました」
前の客との会話が耳に入ってきた
竜二の番になる
「いらっしゃいませ、お箸をお付けしましょうか?」
「いや、いいです」
「ありがとうございました」
(いい笑顔だな)
レジが終わり後ろ向くとまだ長い列が続いていた
(他のレジも埋まってはいるが倍くらいの客が並んでいる。それに早いからみんな解ってこのレジに並んでいるのか?……)
袋詰めをしていた主婦の会話が耳に入ってきた
「やっぱ若ちゃんとこが早いわよねー」
「そうそう、つい話してしまうんだけどいつの間にか通し終わってるもんね」
(暫く仕事振りを見てみるか、夜の方が仕事帰りにもいいしな……)
次の日も次の日も竜二は長い列に並ぶ
「あら?今日はビールが一本多いですよ(笑)」
「いやあ、若ちゃんには参るなあ。今日は暑かったからね~」
「今日は確かに暑かったですよね。飲み過ぎないようにしてくださいね」
「ありがとう」
(普通客の買った物なんて覚えてないし、口を出すものでもないけど、客がありがとうと言ってる。誉められていた若い女の子っていうのはあの子っぽい)
竜二は客との会話を聞いていた