年が開けて
真中家、昼

兄も帰って来ていて五人で正月を過ごした

雫と母は二人でお喋りをし、男三人でお酒を呑んでいた


「来年の二月か、わかった。空けておく」

「うん、ありがとう兄貴」



「竜二、四日の日の仕事の予定は?」

「二日に回りきれなかった店舗があれば四日にと思ってるけど……」


「じゃあ明日頑張って終わらせて四日は八階で接客しろ」

「接客?ってお茶出しとか?」

「お茶は秘書がいるだろ?お前も来客に挨拶しろってことだよ。顔を覚えてもらえってことだ」


「えっ……」



「時期社長の紹介ってことだよ、よかったな。竜二」

「まだ、早いよ親父は役職定年なんだからまだ年数あるし」



「バカ、まだワシは引退せんぞ。でも顔を覚えてもらうには早いほうがいいんだよ。今は跡継いでも誰もついてこないよ。今の役員が可哀想だ」

「横に立ってればいいってこと?」

「そうだ、後ワシが挨拶行く時にも連れていくから秘書同士で日程合わせろ」



「……わかった」

父はそう言うと雫と母の方へ行った



「結婚関係あると思う?」


「いや、結婚は直接関係は無いだろうけどお前が雫ちゃんを大事にしてることがわかるから社員も大事にできるようになってきたと判断したんじゃないか?」

「そっかな……」



雫がやってくる

「竜二さん、お父さんから聞いたよ。あれ、泣いてる?」

「雫ちゃん……」


「お兄さんにまた言われた?」

「またって?俺別に何も悪いこと言ってないよ」


「あっ、いえ悪い事ではなくてですね、この間も感謝してるってお兄さんに言われて帰ってきてから泣いちゃって……日本酒呑むと泣き上戸になるみたいで」



「あっ、こいつ三杯呑んだし、さっき誉めたわ(笑)」

「やっぱり~、可愛いんだけど日本酒注意なんですよ(笑)」


雫は竜二の頭をよしよしとなでる



夜まで真中家では賑やかな声が響いていた