竜二のマンションに着く


「おー、明るくなったな。黒基調だったのに」

「だろ?」


雫はさっとおつまみを用意する

「雫ちゃんは日本酒は?」

「呑んだことないです」

「冷酒だから呑みやすいよ。少し呑んでみる?」

「少しだけ……」

「じゃあ、兄貴、雫ちゃん、乾杯」



「あっ、美味しい!」

「熱燗は匂いが気になるけど、冷酒はそうでもないだろ?」

「兄貴、これ、旨い!」


「呑みやすいと思って早く呑むなよ。日本酒は後でくるから」


「なるほど」

少しずつ口に含みながら呑んでいく

三人で海外の話で盛り上がる
時計の針は十二時を回った


「兄貴泊まる?布団あるよ」


「いや、お前仕事だろ?タクシーで帰るよ。朝もゆっくり寝れるし」



「わかった、タクシー呼ぶ」

「雫ちゃん、ごちそうさま」

「こちらこそ、全部出していただいてごちそうさまです」

「またね」



竜二と二人で下に下りていった

「兄貴、もっと日本にいてよ」


「んー個人で契約するから断ったら仕事なくなるからなー」

「兄貴の語学力あったら日本でも出来るのに……」

「まあ、一応有り難いことに仕事あるから頑張るよ。お前に継がせて俺は楽しく仕事させてもらってる。感謝してるよ。竜二」

「いいよ。俺は雫ちゃんと出会えたし、また帰ってきたらすぐ連絡して」

「わかった、じゃあな」


竜二の頭をポンとおさえ帰っていった

竜二は部屋に戻った

「えっ、竜二さん、泣いてるの?」

「俺、泣いてる?何でだろう」

「日本酒じゃない?泣き上戸になるんじゃないの?」

「わかんない、兄貴と話してたら……兄貴が感謝してるって……俺ね、本当は兄貴が社長で一緒に働きたかったんだ……」



雫はティッシュで涙をふいてあげる

「そうだったんだ。もう、寝ようね」

「うん」