竜二は店長室に向かった

「店長、弁当を追加しました。試しで……これからサラリーマンが増えるから」

「わかりました」

「今日さばけるようなら追加してみて下さい」



「一人用のサラダとか出してみたいんですが、ポテトサラダではなくキャベツとか」

「少し小さめで弁当の横に置いてたら一緒に買いそうですね。弁当の中にも少しありますがもう少し欲しいって感じですよね」

「はい」

「いいですよ。好評なら他の店舗に勧めるのでまたメールでも入れておいて下さい」



「はい。部長、若宮さんがもうすぐ休憩に入りますが」


店長室にあるモニターを見る

「相変わらずレジには人がいますね」

「人がバラけます(笑)」

「そうか(笑)澤田さんに入ってもらいましょうか?」

「試してみますか?」

「お願いします」





店長はスタッフルームへ行きすぐに戻ってきた

澤田が雫のレジへ行く

「変わります」

「あっ、はい」
雫がレジから出ようとすると子供が話しかけてきた


「若ちゃん、終わり?」


「三十分休憩なの。でも交代してくれるおじさんはベテランだから打つの早いから待てるかな?」

「本当?待つよ僕。ねっママ」

「そうね」



「うわぁおじさん、若ちゃんの言った通り打つの早いね」

「ありがとう、一応年数は長いからね。おじさんに変わってごめんね」


「ううん、僕待てるから。若ちゃん打つの早いからみんな並ぶんだよ。それにお話してくれるし」

「そうかー、おじさんもじゃあ今度来たら僕のこと覚えておくよ。また来てね」

「うん!」


竜二はスタッフルームに入っていった



「お疲れ」

「あっ、お疲れ様です」

「りゅ、あっ、部長の仕業ですか?澤田さんに交代させたの」


「よく、わかったね。雫ちゃんが休憩に入ると列がバラけるって店長が言うから見てみたかったんだけど……何か子供に言っただろ?」

「はい、おじさんベテランだから打つの早いから待ってって(笑)」

「それで列がバラけなかったのか(笑)」


竜二は食事をしている雫の頭を優しくなでた

「雫ちゃんは誰にでも優しいな」

雫は真っ赤になってお弁当の唐揚げを差し出す

「食べる?」



竜二はパクっと口に頬張った

「もう帰る?」

「一度会社に戻ってから帰って迎えに来るからね。兄貴はちゃんと来てた?」

「うん、話やすかった」

「雫ちゃんは誰とでも話せるからな」

「そっかな……昔は話せなかったよ。バイト始めてからだよ」

「へぇ、まだまだ雫ちゃんのこと知れるね。あっ、行かなきゃ」

「気をつけてね」

「うん、後で……」




店長室に行く

「おじさんはベテランだから打つの早いから待っててと言ったそうです」

「(笑)そうでしたか」


二人でモニターを見る

「暫く短い時間でいいからレジを……笑顔が必要ですね」

「そうですね、澤田さんが笑ってるの始めて見ました」

「では、私はこれで失礼します」

「はい、お疲れ様でした」


竜二は雫を迎えに行きマンションに帰ってくる