「わたしがちょっと二号店にかまけている間、店番頼んで悪かったね」

「ちょっとか?
 あんたらの時間の流れはおかしいぞ」
と倫太郎はおばあさんに文句を言っていた。

「どうした?
 もう駄菓子屋、飽きたのかい?」

 そう問われ、倫太郎は沈黙する。

 ははは、とおばあさんは笑って言った。

「楽しくやってたようだね」

 ……やはり、なんだかんだ文句言いながら、それなり楽しかったのか、と思った。

 だが、こう毎晩では、やはり、身体は辛そうだ。

「俺も自分の仕事を持ったから」

 迷いながら、倫太郎はそう言った。

 はっきりとしたことを言わないのは、決断しかねているからだろう。

 このあやかしの駄菓子屋と完全に手を切るかどうか。

 今なら頼めば、店主を辞めさせてもらえそうだった。