「お前が残るってどういう意味だ」
「社長は長くここにいらっしゃって、お疲れだろうから、わたしが代わりにこの店をやりましょうかって意味です」
そう壱花は倫太郎に言ったが、
「それだと今度はお前が疲れるだろうが」
と言われる。
「いやー、でも、どうせわたしは社長と違って、たいした仕事はしてませんし」
と言って、
「いや、お前にいくら払ってると思ってるんだ。
仕事しろ」
と言われてしまう。
いやいや、社長が遠慮しないようにそう言ったんですよ……と思ったとき、倫太郎が言ってきた。
「疲れてるんだろ? お前も。
ここ入ってきたとき、ボロボロだったじゃないか」
あの……たとえ、わたしを気づかって言ってくださっているのだとしても、ボロボロとか言われたくないのですが、女子として。
と思ったそこに、また、倫太郎がたたみかけるように言ってくる。
「第一、どうやって俺と交代するつもりだ。
ちゃんと考えはあるのか」