この双六は出た目の数ほど進むのではなく、出た目の場所へ飛ぶらしい。

 ふりだしは子どもたちが百物語をしている絵だ。

「じゃあ、社長なので、社長からどうぞ」

「なんだそれはありがたがれと言うのか」

 一番手が必ず勝つわけじゃないだろと小憎らしいことを言ったあとで、
「レディファーストだ。
 お前からやれ」
と言ってくる。

「俺は紳士だからな」

 いや、紳士がこんなところで、あやかしの客が来ないか店先を窺いながら、妖怪すごろくしない気がするのだが……。

「ありがとうございます。
 でもじゃあ、じゃんけんで」
と言ったが、やはり運が強いのか、倫太郎が勝った。