倫太郎は、
「粉が飛び出してきそうだな」
と言いながら開け、

「手が汚れるな」
と言いながら、棒に刺さったきな粉の菓子を引っ張り出していた。

「うるさいですね、このお坊っちゃまは」
と思わず、口に出して言ってしまう。

「お前、それ職場で言ったら、ぶん殴るからな」
と言われたので、

 ここなら言ってもいいのだろうか……と思ってしまったが。

「うん。
 うまいじゃないか。

 まるで、きな粉もちだ。
 いや、これなら、普通にきな粉もちを食べた方がいいんじゃないか?

 その方が量もあるし」

「いやいや。
 きな粉もち作るの、大変でしょ?

 これだったら、街中でふと、きな粉もちが食べたくなったとき、食べられるじゃないですか」

「街中でふと、きな粉もち食べたくなるときって、どんなときだ……」