「あはは、現代の鬼さんって普通の人間みたいに暮らして居るんですね。何だか親近感が湧いて来ました」

「ははっ、そんなにおかしいですか?」

「昔話の中の鬼さんから想像すると違いすぎて笑ってしまいすみません!」

「鬼も他の妖もひっそりと暮らす時代になりました。稀に起きている怪奇現象も妖の仕業かもしれません」

「そうなんですね…」

俯き加減で話す彼の横顔がとても綺麗で私は見とれてしまう。人間の男性よりも妖艶で美しく感じるのは、彼があやかしだからだろうか?昔話の中の鬼は大柄で肌の色も赤や青だったりするけれど、想像とは大分違うものだな。

「ふふっ、昔話の鬼との違いに驚いてますか?」

見とれていた事に気付かれ、彼が笑いながら問い掛けてきた。その通りですとも、昔話の中の鬼とは似ても似つかない姿に驚いている。

「現代の鬼は純血ではなく、人間との半妖も増えて来ました。生涯を鬼だと悟られずに過ごす者も居ます。他の妖との交じりも多くなって来て、鬼の力も衰えて来ていますが…鬼の血を絶やす事だけは避けたいのですよ」

「そうですよね、血筋が絶えてしまうのは悲しい事です」

「……なので、貴方に私の花嫁になって頂きたいのですが…」

「……はい、…って、今、何とおっしゃいましたか?」

彼がサラリと流し気味に発した言葉が上手く聞き取れないままに返事をしてしまったが、とんでもなく大変な一言だった気がして聞き返す。

「花嫁になって頂きたいと申しました」