「ふっふっふ」
藤原が含み笑いをしている。
「どうしました? 監督?」
近くにいた紅寧が小首を傾げながら訊いた。
「今日はメンバー発表だろ? つまり俺がメインの回ってことだ」
藤原はニヤニヤと笑っている。
「あー。それでそんなに気持ち悪い顔して笑ってたんですね」
紅寧が笑顔で毒づく。
「いや、あの、俺、一応、監督だし、先生なんだけど」
「あ、すみません。つい」
紅寧はてへへっと自身の後頭部を撫でながら謝った。
「ついってなんだよ、ついって……」
藤原は苦笑を浮かべて、冷汗を垂らしていた。
「まぁ、ええわ。それじゃあ、気を取り直してやりますか。夏の先発メンバー……」
「発表です!」
「えっ!? ちょっと、黒田?」
藤原は戸惑いを隠せない様子でツッコんでいた。
「一番、センター……」
「ちょっと、黒田、黒田……」
藤原は紅寧がメンバー発表するのを止めようとするが、紅寧はそれを無視して続けた。
一番 センター 難波一輝 (三年) 右投げ左打ち
俊足を生かしたバッティングと守備が売りのリードオフマン。調子に乗ると大振りになる癖は相変わらずだが、平常時は野手の間を抜くバッティングを得意としている。
二番 ショート 遠藤 (二年) 右投げ左打ち
昨夏、ことごとくチャンスで凡退した悔しさをバネにこの一年で大きく成長。華麗な守備とシュアなバッティングが持ち味。走攻守三拍子揃った選手。小技で繋ぐよりも、強気なバッティングでチャンスの拡大を狙いたい。
三番 ピッチャー 春野大智 (三年) 右投げ右打ち
チームの大黒柱。昨夏に負った足のケガは完治。怪我の影響も今のところは見られない。逆にスタートが出遅れた分、巻き返しの努力はすさまじいものだった。更に磨きのかかったストレートと縦横のスライダーを武器に勝利を狙う。最後の大会にかける強い想いでチームを優勝へと導けるか。
四番 ファースト 上田刀磨 (三年) 左投げ右打ち
攻撃の大黒柱。昨夏の敗北を受け、バットを振り込んだ。オフのトレーニングで体が一回り大きくなったことでより力強さも、飛距離も増した。今や他の強豪校からも一目置かれる存在にまで成長を遂げた。
五番 キャッチャー 大森哲也 (三年) 右投げ左打ち
キャプテン、キャッチャー、クリーンナップと多岐にわたる重責を負いながらチームを引っ張ってきた。仲間からの信頼も厚い。他校の研究にも余念がない。ただし、おかげさまでテストは赤点ギリギリだった。
「余計なことは言わんでよろし」
どこからか大森がツッコむ声が聞こえて来た。
紅寧はそれを無視して続ける。
六番 サード 岡崎 (二年) 右投げ右打ち
可もなく不可もないアベレージな選手。ただ成績の数字を見ると中々の好成績を残している。しかし、どういうわけか目立った印象が少ない。静かな仕事人。
七番 レフト 林 (二年) 左投げ左打ち
打撃力を買われて、ファーストからコンバート。まだまだ粗削りだが、パンチ力のある打撃で一発を狙う。
八番 セカンド 藤本 (二年) 右投げ左打ち
守備職人。バッティングはそれほど得意でなく、打率は低いが、出塁率は悪くない。何とかして塁に出ようという気持ちが見られる。
九番 ライト 木下 (二年) 右投げ右打ち
選球眼の良さと広角に打ち分けるバッティングが持ち味。上位打線に回る前に塁に出て、チャンスメイクをしてくれることを期待。
控え投手
岩田 (二年) 投手 右投げ右打ち
本格派の右腕。持ち球はスライダーとカーブ。オフを越え、体が一回りも二回りも大きくなった。その分、安定感が増した。あとは昨夏からのメンタル面の成長がどうか。夏のプレッシャーに打ち勝ち、出来るだけエースの負担を抑えたいところ。
吉川 (二年) 投手 左投げ左打ち
変則のサイドスロー。ツーシームを中心に打たせて取るピッチングが持ち味。主に中継ぎ担当。持ち球はツーシームにスライダーとシュート。
「以上、主要メンバーを千町高校の敏腕美人マネージャー、黒田紅寧がお送りしました」
「あの……俺の紹介もしてくれない」
藤原が自分を指して言う。
紅寧はそれを一瞥しただけで元の状態に向き直った。
「お送りしました!」
「いや、ちょっと、ちょっと」
次回、夏の選手権大会予選開幕!
「おーい! 終わんなー!」
藤原が含み笑いをしている。
「どうしました? 監督?」
近くにいた紅寧が小首を傾げながら訊いた。
「今日はメンバー発表だろ? つまり俺がメインの回ってことだ」
藤原はニヤニヤと笑っている。
「あー。それでそんなに気持ち悪い顔して笑ってたんですね」
紅寧が笑顔で毒づく。
「いや、あの、俺、一応、監督だし、先生なんだけど」
「あ、すみません。つい」
紅寧はてへへっと自身の後頭部を撫でながら謝った。
「ついってなんだよ、ついって……」
藤原は苦笑を浮かべて、冷汗を垂らしていた。
「まぁ、ええわ。それじゃあ、気を取り直してやりますか。夏の先発メンバー……」
「発表です!」
「えっ!? ちょっと、黒田?」
藤原は戸惑いを隠せない様子でツッコんでいた。
「一番、センター……」
「ちょっと、黒田、黒田……」
藤原は紅寧がメンバー発表するのを止めようとするが、紅寧はそれを無視して続けた。
一番 センター 難波一輝 (三年) 右投げ左打ち
俊足を生かしたバッティングと守備が売りのリードオフマン。調子に乗ると大振りになる癖は相変わらずだが、平常時は野手の間を抜くバッティングを得意としている。
二番 ショート 遠藤 (二年) 右投げ左打ち
昨夏、ことごとくチャンスで凡退した悔しさをバネにこの一年で大きく成長。華麗な守備とシュアなバッティングが持ち味。走攻守三拍子揃った選手。小技で繋ぐよりも、強気なバッティングでチャンスの拡大を狙いたい。
三番 ピッチャー 春野大智 (三年) 右投げ右打ち
チームの大黒柱。昨夏に負った足のケガは完治。怪我の影響も今のところは見られない。逆にスタートが出遅れた分、巻き返しの努力はすさまじいものだった。更に磨きのかかったストレートと縦横のスライダーを武器に勝利を狙う。最後の大会にかける強い想いでチームを優勝へと導けるか。
四番 ファースト 上田刀磨 (三年) 左投げ右打ち
攻撃の大黒柱。昨夏の敗北を受け、バットを振り込んだ。オフのトレーニングで体が一回り大きくなったことでより力強さも、飛距離も増した。今や他の強豪校からも一目置かれる存在にまで成長を遂げた。
五番 キャッチャー 大森哲也 (三年) 右投げ左打ち
キャプテン、キャッチャー、クリーンナップと多岐にわたる重責を負いながらチームを引っ張ってきた。仲間からの信頼も厚い。他校の研究にも余念がない。ただし、おかげさまでテストは赤点ギリギリだった。
「余計なことは言わんでよろし」
どこからか大森がツッコむ声が聞こえて来た。
紅寧はそれを無視して続ける。
六番 サード 岡崎 (二年) 右投げ右打ち
可もなく不可もないアベレージな選手。ただ成績の数字を見ると中々の好成績を残している。しかし、どういうわけか目立った印象が少ない。静かな仕事人。
七番 レフト 林 (二年) 左投げ左打ち
打撃力を買われて、ファーストからコンバート。まだまだ粗削りだが、パンチ力のある打撃で一発を狙う。
八番 セカンド 藤本 (二年) 右投げ左打ち
守備職人。バッティングはそれほど得意でなく、打率は低いが、出塁率は悪くない。何とかして塁に出ようという気持ちが見られる。
九番 ライト 木下 (二年) 右投げ右打ち
選球眼の良さと広角に打ち分けるバッティングが持ち味。上位打線に回る前に塁に出て、チャンスメイクをしてくれることを期待。
控え投手
岩田 (二年) 投手 右投げ右打ち
本格派の右腕。持ち球はスライダーとカーブ。オフを越え、体が一回りも二回りも大きくなった。その分、安定感が増した。あとは昨夏からのメンタル面の成長がどうか。夏のプレッシャーに打ち勝ち、出来るだけエースの負担を抑えたいところ。
吉川 (二年) 投手 左投げ左打ち
変則のサイドスロー。ツーシームを中心に打たせて取るピッチングが持ち味。主に中継ぎ担当。持ち球はツーシームにスライダーとシュート。
「以上、主要メンバーを千町高校の敏腕美人マネージャー、黒田紅寧がお送りしました」
「あの……俺の紹介もしてくれない」
藤原が自分を指して言う。
紅寧はそれを一瞥しただけで元の状態に向き直った。
「お送りしました!」
「いや、ちょっと、ちょっと」
次回、夏の選手権大会予選開幕!
「おーい! 終わんなー!」