性病事件は無事解決し、悠希の浮気疑惑が晴れ一安心してからあたしは女医に言われた通り毎日病院へ通い、薬を入れに行った。


そのおかげで匂いはだいぶ落ち着いて、おりものの量も減り、いい感じになっている。


物事は順調に進み、毎週悠希が来る土日。


それだけが楽しみで、生活や仕事に張り合いも出てくる。


悠希が来る時、あたしが仕事から帰るまで部屋で待っていられるよう合い鍵を渡し、同棲に近い環境を整えた。


相変わらず生活リズムはバラバラだし、体調は優れないけど、以前と比べたら格段に心は落ち着いている。


支えがあるって


なんか強い。


「あぁ~つっかれた~。ただいま」


この日は待ちに待った悠希と会える土曜日。


仕事でくたびれた心と体を癒やしてもらおうと、あたしは張りきって自分の部屋の扉を開けた。


「ちょっ?何!?」


部屋に入ると目の前に広がる現実。


驚いて動けない。


部屋が


あまりにも綺麗すぎて自分の部屋じゃない。


まるで他人の部屋におじゃましたみたいだ。


「おかえり~!」


ジャージ姿で登場した悠希の手には台拭きが握ってあり、いい笑顔で出迎えてくれた。


部屋をくまなく見ると、服も丁寧にたたまれ綺麗に積んである。


「掃除してくれたの?」


「だってお前酒のビンだの物ぶちまけてすげぇじゃん。俺片付け得意だからさ」


悠希はゴミ箱をひっくり返したようなあたしの部屋を、仕事に行っている間に一人で掃除してくれてたんだ。


突然のサプライズは女心をくすぐる。


悠希の行いは何一つ申し分なく、感謝しきれない。


「悠希…ありがと」


「これからはちゃんと部屋掃除をマメにする。OK?」


「ラジャー!」


冗談まじりに敬礼して返事し、背筋を伸ばすと


「よし、いい子」


あたしよりぐっと背の高い悠希は、手をあたしの頭へ乗せ、ポンと叩く。


なんとなく胸付近がくすぐったくて、あたしは赤らむ顔を隠そうと横を向いた。


「誰かさんは照れ屋でうけますなぁ~」


常に見透かす悠希にはかなうわけはなく、お見通しだったらしい。


こいつすげえよ



一人考えてたらますます顔は赤みを増し、耳まで火照りを感じてしまう。