黙っているのは心苦しいが、聞きたくない相手に無理に聞かせる方がもっと心苦しい。


だからやめておく。


「悠希…疑ってごめんね」


「気にすんなって。大丈夫だからさ!」


あたしはこの時。


からかうとか冗談とかそんなもの抜きで素直に謝れた。


心から素直に謝るのは恥ずかしいんだと思っていたのに、優しく微笑む悠希の顔を見るとなぜか謝りたくなっていたんだ。


他の誰かじゃ出来ないけど、悠希だからこそ謝れたんだと思う。


悠希があまりにもまっさらで清いから。


あまりにも綺麗だから。


「歩、しっかり治す…」


「治ったらさせろよ!」


「調子こくな馬鹿!」


おでこにデコピンして笑ったら、暗い雰囲気は一変していつもの二人に戻っていた。


性病になり、自分の不甲斐なさに気付かされたけど、この事があったからこそ悠希の心の広さを知れたんだ。


あたしにはない何かを悠希は埋めてくれる。


子供なあたしを成長させてくれる。


何かが変わり始めていくのを感じつつ、二人の絆は深まっていくのを感じてならない。