部屋へ戻り、先に仕事に向け準備し、悠希の仕事が終わった時間を見計らってあたしは電話をかけた。


「こんな時間にどうした?」


悠希からしたら普段電話をかけない時間にかかってきたらそれは不思議だろう。


「ねぇ。悠希、浮気した時ある?」


ついさっき起きた出来事は伝えず、頭から悠希に非がある言いぶりで無我夢中で聞きだした。


「お前何言ってんの?」


「いいから!」


「馬鹿じゃねぇの?」


冷静に話す悠希の声はとても低く、結構迫力がある。


しかし、びびっている場合ではなく、一日も早く性病の件を伝えなければいけない状況だ。


「ん、じつはあたし性病って医者に言われてさ…」


「おい、ちょいまて。俺から移ったと思ってんの!?」


悠希はすぐ声を張り上げ、キンキン声が刺さり、耳元へ飛び込んでくる。


それはそうだ。


悠希からしたら疑われた上、性病持ちのレッテルを一方的に貼られているのだから。


でもあたしが原因じゃなく、悠希が原因かもしれないとこっちはこっちで思っている。