それから部屋に付いた二人はこの日。


悠希の深い愛と共に1つになった。



もう何も二人を隔てる壁はない。



体の繋がり、それだけが愛だなんて思わない。


あたしは体を重ねて悠希を知り、本当の意味で女を知った。


悠希はつきあった日と同様、何度も何度もキスをしてきて、いとおしそうに頬を指で撫でる。


ぎこちなく唇を体に這わせ、くすぐったくてビクッとなる体。


あたしを包み込み、抱きかかえ、舌を優しく入れて絡ませる。


無理矢理じゃなく全て優しい。


こんな愛され方は初めてで。


とても新鮮で。


初体験のように頬を赤らめた。


今まで体を重ねた男達にされていたのは、一方的に相手がいく虚しい結びつき。


行為が終わると背中を向けられたり、洋服をすぐに着替えられたり…


悠希は男達とは正反対で何度もあたしを確かめる。


「気持ちいい?」


「ちゃんと感じてる?」


目があうたび必ず


「歩。大好きだよ」


と言い、長いキスをしてきた。


悠希の声が耳に入ると全身を巡る血が沸き上がり、溶けてしまいそうだ。


心地いい高音。


とろけそうな心地良さ。


あたしは悠希の背中に手をまわし、必死にしがみついた。


「悠希。ヤバイ…」


見た目は細いのに、筋肉質で男を感じさせる体。


何故か肌が触れ合うたびに泣きたくなったけど、幸せなのに泣くなんておかしいと涙をこらえる。


“愛されたい。もっと愛されたいよ”



愛を求め生きてきたあたしは、まだ悠希との愛が本物かすらわからない。


でも悠希の匂いを間近で感じ、ほのかに香る香水とタバコの匂いに懐かしさを感じて落ち着いた。


どこかさっぱりで、爽やかな匂いに心を奪われ首に手をまわし引き寄せる。