「こっち側でいい?」


「あたし左寝られんのなんか嫌なんだよね。だから右に来て」


「うん。わかった。じゃこっちに側からお邪魔します」


純粋だと思っていた悠希は予想より早い展開であたしにそっと近寄り、恐る恐る申し訳なさそうにゆっくりと布団に入ってきた。


嫌みのない微かな香水の香りが鼻を刺激して、とてもいい匂いが香る。


布団の中が甘ったるい匂いに支配された。


うわぁ~顔近い!ってか本当に目がキレイ…


至近距離に現れた悠希の顔は、パッチリ二重にカラコンした風な茶色い瞳。


吸い込まれてしまう澄んだ瞳だ。


「まつげ長っ!」


悠希のまつげが長くて目を見つめ、思わず叫んでしまった。


付けまつげにも負けない自まつげが、上にくるんと巻いてある。


マスカラで努力してるあたしはなんなんだ。


「じつはよく言われる…」


あまりの顔の近さとハッキリ見えすぎる顔に動揺してしまいそうで、とてもじゃないが耐えきれない。


好きでもないのに胸が張り裂けそうだ。


「電気消していい?あたし顔見られんのやっぱきついや」


「お、おう」


悠希に電気を消してもらい、部屋は暗闇に包み込まれる。


悠希が再び布団に潜り、さっきより体が近い。


暗闇で互いが見えないのをいい事に、あたしは攻撃をしかけ、わざと悠希の体に密着した。