そのまま布団の中でテレビを付け、約20分。


布団で横になっていたらまた着信音が鳴った。


「これ悠希だよな」


悠希の番号を登録し忘れ、携帯番号だけが表示された画面を見つめ考えてみたが、電話をとると間違いなくあの高い声が耳に入った。


「今着いたけど部屋わかんないよ~」


「三階の奥から二番目の部屋だよ」


「うん。わかった。今行くね」


「あ~い」


悠希に部屋を教えてから数分後。


“トントン”


扉を軽く叩く音が部屋に響く。


リモコンを手に握り、テレビを消して起き上ろうと試みるが起き上がれず、出迎える事さえ出来ない酒漬けの体。


「カギ開いてるから入ってえぇ」


力ない声を出し、そんな声でも届いてしまう薄い扉の向こうに立つ悠希に話かける。


「お邪魔します」


扉が開くと、相変わらず色白でとても綺麗な顔が目の前に現れた。


電気が付いた明るさでカラオケの時よりもっとよく見え、なんだか照れくさい。


ジッと顔を見つめていたら、悠希は突然しかめっ面で言い出した。


「歩ちゃん…この部屋酒臭い」


「すんませぇ~ん」