「もうダメ?絶対ダメ!?」


「別れてくれよ!つれぇんだよ!」


「やだ!やだぁああ!」


「俺だって…」


「悠希、やだぁああ!」


「聞けよ!」


「やだぁああ!」


「1ヶ月後!!」


「1ヶ月?1ヶ月がなんなの!?」


「10月に電話すっから!」


「10月!?わかった。待ってる。絶対待ってる!」


「……」


「待ってる!」


「じゃ」


言いたい事だけ言うと、悠希は一方的に電話を切った。


声はいつもと違って語尾を伸ばす癖、甘く話す高音は全くなかった。


「余計な話などしたくない」とばかりにすぐ別れを切り出された電話。


一瞬の出来事だったせいか、あたしはイマイチ理解しきれていない。


兄と何の気無しに来てしまったスロット。


今とてもじゃないが打ちに行く気にはなれなく、力が抜け、車のシートに背中が張り付き、動けない。


携帯を呆然と頭上に掲げ、悠希との過去のメールを見てあたしは唇を噛んだ。


『……愛してる』


『好きだよ』


『早く会いたい』


何処を開いても、愛を綴られたメールのオンパレード。