「遠いな」



「何ヶ月!?」


「それがさ。未定なんだよ」


「…」


あたしが言葉に詰まりずっと黙っていると、悠希は口火をきり神妙な声で話し出した。


「歩、俺と別れたくていつも別れ話、切り出してた?」


「…どうかな」


違う。


全然違う。


今まで別れを切り出していたのは悠希の気持ちを知りたかったから。


愛の度合いが知りたかったから。


声に出さなきゃ伝わらない。


口にしなきゃわからない。


そんなのわかってる。


わかってるけど、言葉に出来ない。


「俺、さすがに疲れた」


「疲れたって」


「別れてとか言われたくねぇんだ。俺だって人間だからさ。毎回言われるたび苦しいのわかるか?」


悠希が言いたいセリフなんて決まってる。


いらないんでしょ?


歩が…


ハッキリ言わない悠希に変わり、あたしはストレートに聞いた。


「あたしと別れたいんでしょ。早く言えば」


こんな時なのに可愛げなく強く言う。


どうしてって言えない。


「うん。これ以上傷つきたくない。もう終わりにしたい」


「あたし…好きだって…別れたくないって言って欲しくて別れを切り出してた。それを聞くと安心してた。離れていかないんだって…」


悠希が初めて自分から言ったんだ。


別れ話は本気だ。


けど、失いたくない。


どうしても悠希と別れたくないあたしは食いついた。


「別れは嫌!」


「でも、俺はつらかったよ」


「別れたくない!本当にごめん。ごめんなさい。あたし愛情の計り方間違ってた。悠希が好きなの!」


「でも、別れるつもりだから!」


悠希の声はあたしの話を押し殺し「聞いてない・聞こえてない」話しぶりだ。