「痛みどう?」


「だいぶラクになった。動いても痛み走んないし」


「俺…マジ何やって」


「もういいって。シャワー浴びてくるからバスタオル貸して」


和らいだとはいえまだ本当は痛みがじんわり残ってて、腹部がねじれるたびこらえて腹に力が加わる。


平気な顔を作らなきゃ、また悠希が自分を責めてしまう。


悠希は悪くない。


きっとマンネリエッチに飽きて、ちょっと間がさしただけだよ…


と、勝手な自己解決で自分に責任を押し付け「あたしが悪かったんだ」って言い逃れをする。


これはあたしの悪い癖。


昔から自分が悪かったんだって人の罪も被ってしまう。


間違った優しくない優しさ。


人の為、変に気を使ってしまう。


「はい、タオル」


「ありがと。行ってくるわ」


風呂場まで平然を装い、扉を閉め、あたしは堪えきれなくて床に膝から崩れ落ちた。


「痛くないわけねぇじゃん…本当は苦しいんだっつの」


床に手を付き、歯を食いしばって反対の手で腹を抱え、涙をこらえる。


外に声が漏れたらいけない。


悠希に余計な心配なんてさせたくない。


時間をかけてシャワーをしたらバレる気がして、あたしは気合いだけでシャワーを浴び、痛みを誤魔化した。