ズルい女で汚ない部分は依然となんら変わりない。


染み付いた恋愛癖はそう簡単にやめられるはずもなく、なすがままに自らの意志を貫く。


体の結び付きで散々失敗してきたのに、こんな時ですら女を匂わす。


~愛を得る~


枯れきっていた心にある小さな花は愛を求め水を欲し、悶えていた。


あたしが恋に落ちた慶太。


どんな宝石より眩く、欲しくて欲しくてたまらないよ…



アパートに着いた二人はぎこちなく車を降り、あたしの部屋の前に立ちはだかった。


カバンから部屋の鍵を取りだし、ゆっくり鍵を回しドアを開く。


「本当にヤバい部屋だけどどうぞ」


「おじゃましま~す」


慶太を先に進ませ靴を脱ぎ、玄関に上がり込んだのを確認してからあたしも靴を脱いだ。


「おおっ!豹柄だらけじゃん」


「全て揃えたの。凄いっしょ」


「豹柄も凄いけどブランド品の袋だらけで凄いな」


慶太は部屋に入るなり声をあげ周りを見渡し、興味深げだ。


客からの貢ぎ物で溢れる部屋は戦利品の山と、相変わらず酒の空瓶が転がる。


慶太は棚の上へ大量に並べられた香水を手に取り、匂いを確かめ楽しそうにいじり出した。


「欲しいのあれば持ってっていいから」



手に入れた感情のこもっていない物などゴミと一緒。


また欲しくなればちょっとねだっていくらでも手に入る。


「ふ~ん。女は得だよな」


「どうかな。得なんかね?あたしは親が女に産んだからとりあえず女やってっけどさ。慶太モテそうだから女に貢がせれば?」


「男はそううまくいかねえの。ついでに俺はモテない」


女は得だとなかなか痛いとこを突かれたが、大概の男に同じセリフを言われ馴れたあたしは動じやしない。


慶太がすかして話す姿が変に大人に見え、なぜか笑いたくなり


「モテないとか嘘ばっかり~男辞めて女になれば。あははははっ」


ちょっとバカにして、大袈裟に腹を抱え笑い転げた。


「お前笑ってんじゃねえよ」


「うっせ!!おもしれえから笑うんだよ!ぷはははっ」


あたしの近くに慶太は座り、つられたのか顔をはにかませ笑っていた。