「わかった。行く」


散々迷惑ばかりかけてきたし、小さなワガママをたまに聞いてあげなきゃ悠希も息がつまってしまう。


変だと直感が働いても、問いつめたりしつこく理由を聞いたりしたくない。


可愛いワガママにはこたえてあげたい。


あたしは一つ返事ですぐ悠希の願いを了承した。


通り道に怪しげなラブホテルの看板を見つけ、悠希は躊躇なく緑で覆われた小道に車を走らせる。


数十メートル進むと、古ぼけ、何か出そうなラブホテルが顔を出した。


二人は車を降り、急な階段を登って部屋に着くと、外観より内装は悪くない。


ベッドの場所とは別に、大きな丸い風呂が完備されている広々とした部屋だ。


順番に再度サラッとシャワーを浴び直し、バスローブを着込むと、悠希はテレビも着けずあたしの手を引きベッドに押し倒すなり覆い被さってきた。


いつもより激しいキスが唇を刺激し、あたしは絡まる舌に吸い付いた。


「ねぇ…悠希ぃぃ…どうしたの?」


「歩。歩」


こっちの声など耳に入っていない悠希は上で気持ちよさげに息を漏らし、あたしの名を何度も口にしている。


いつもと違う悠希に違和感を感じつつ、下で喘いでいたら、悠希の動きがいびつになり体勢がぎこちなくなった。


「何?あっ、嫌っ!」


体の小さいあたしの背後に回った悠希は、嫌がるあたしなど無視してバックでせめてくる。


おかしい。


やはり、なんか変。


こんなのは悠希じゃない。


体が小さい分、子宮まで浅い作りのあたしはバックされると子宮に当たって九割の確率で腹痛を起こす。


腸の神経を引っ張られてる感覚に近い苦痛の腹痛は、耐えるなんて無理に近い。