「いいじゃん!行こうよ~。なぁ行こう!日焼け止めガンガン塗ればいいし。なっ、行こう!」


顔を近付け、猫なで声で甘えてくる悠希。


――ちくしょう。おめぇ可愛いんだよ!


甘えた悠希が可愛いく見えてたまらなくなり、知らん顔ができない。


「う~ん。泳がないかもよ?」


「うん」


悠希はますます顔を近付け、大きな瞳をもっと大きく開け、見つめてくる。


あたしは近すぎる顔を右手で押しのけ、笑って目を逸らした。


「ちょっ、水着は着るけどタオル被りっぱなしかもよ?」


「うん!」


「それでも行きたい?」


「うん!!」


目を輝かせて、お前は子供か!と突っ込みを入れたい衝動にかられたが、自分の心に閉まっておく。


「行くかっ!」


「やったぁ!んじゃ、来週の日曜日に決定!」


悠希のまん丸な目に結局負けてしまったあたし。


海にいる姿を想像しただけでも暑苦しい。


悠希の思うつぼにはまったあたしは、結局海に行くハメになってしまった。