ーーもしやコイツ会う気満々だったんじゃね!?


内心そう思いつつ母と悠希を交互に見つめ、これから二人がどんな展開になるか笑ってあたしは見ている。


「はじめまして」


唐突な展開なのにしっかり者の悠希はちゃんと頭を下げ、深々と挨拶する。


「あっ、どうも。娘がお世話になってます」


母は母でお茶を手に持ち、緊張気味に悠希へ挨拶する。


二人の顔があまりにも固い。


可哀想にさえ感じる。


その反面、凄く面白い。


「お茶持って何してんの?あたしは座布団を持ってきて欲しかったんだけど……」


「あっ。座布団だったね」


母が座布団ではなく、お茶を持ってきた姿が笑いのツボに入り、我慢ができない。


もう芝居染みたやりとりは勘弁してくれ。


「あははははっ!!」


もう笑いたくて笑いたくてこらえられなくなり、あたしは腹を抱えひっくり返り、足をバタつかせた。


「お茶…まずはねっ」


そんな状況なのに冷静を装い、母は悠希にお茶を渡した。


「どうも」


悠希も口元を緩ませず背筋を伸ばし、お茶を受け取る。


二人は絵に書いたようなガチガチぶりで、空気を読まずやりとりを面白がっているあたしは耐えきれず、笑いの涙を拭い


「おか~ん邪魔しないでよ」


悠希を解放する為に、母を部屋から追い出そうとした。


「しないよ!んじゃ、ごゆっくり」


母は案の定反応し、悠希に軽く会釈すると、顔を赤らめそそくさ出て行こうとした。