「おめぇなんざ死ねばいんだよ。あははっ」


床に倒れた相手の顔を踏みつけ笑っていた過去の自分。


「いらねんだよ!ちょっとつきあったからって彼氏ヅラすんな!」


何度も愛を囁いてくれたのに相手を罵り続けた自分。


「その金、胸に挟んでくんない?誕生日チップでしょ」


10万のチップを意気揚々と胸の谷間に挟んで貰い、偉そうに勝ち誇ったしゃべりをかました自分。


「早くいけよ。いかせようなんてしなくていいから。どうでもいいけどキスは絶対しないで」


愛がない男との体の交わりで喘ぎ声なんか全く出さず、口でいかせ、精液をティッシュに吐き出し馬鹿にした自分。


「いつになったら好きになってくれるのって?あたしはあんたなんか好きになんない。自分すら好きじゃない」


人に揉まれ心に余裕なんてなく、突っ走って生きてきた自分。


「やられたらやり返す。ぜってぇお前潰すから。ってか詫びいれさせてやるよ」


潰されたくない、負けるものかとのたうちまわり生きてきた自分…


すさみきり、汚れた手でタンポポを触るなんて許されるのだろうか。


こんなあたしが清らかな命に触れていいのだろうか。


「歩ちゃん?」


「ん~。愛菜はママと似て心が白くて優しいね。歩ちゃんはね、真っ黒なんだよ」


「真っ黒?愛菜、黄色がいい!」


「ははっ。んじゃ今日の愛菜は黄色か」


「お姫様は黄色のドレスも着るんだよ」


子供の清い心は計り知れない想像を生み出し、今のあたしが愛菜みたいになるなんて到底無理な話。


愛菜を見てると羨ましくて仕方ない。