あたしはタバコの煙を口いっぱいに含み、短くなったタバコを灰皿に押し付け、悠希を見る。


「いや、マジ服が誕生日プレゼントでいいから」


「だ・め!」


「服でじゅ~ぶん!あんな万札はたいたんだよ?」


「だ・め!金の問題じゃない!つうかさ~歩、さりげ前からヴィトンのポーチが載ってる雑誌見てるよな」


悠希も吸っていたタバコを灰皿に押し付け、あたしを見る。


――なんでわかるんだ!?こいつ不思議ちゃん!?


驚きを隠せず、あたしは悠希の目を見たまま何度も瞬きをした。


確かにブランド雑誌は読みあさっていたし、ある物に狙いをつけていた。


でも、一緒に雑誌を眺めたわけでもはないし、独り言を呟いた程度。


どこまでも見抜かれ、やめてくれって勢いで身ぐるみを剥がされた感覚がする。


「いや、見てたっつうかさ~プラダの化粧ポーチ職場に置いてたら化粧ごとパクられたからいいのないかなぁ~なんて思っただけだったり…あ~、んと」


たいして興味のないふりをして、話題をそらそうと言葉を選んで話す。


すると悠希はごまかそうとするあたしを見て


「ふう~ん」


テーブルに頬杖を付き、唇を尖らせ、目を丸める。


「あの、視線が非常に痛いんすけど…」


悠希の瞳は力がありすぎて視界に入ると意識してしまい、どうしても恥ずかしくなる。


あたしは逃げるように視線をずらし、灰皿に目を向け、押し付けたタバコを再び手にとり、無意味に灰を真ん中に集めた。