悠希の車に乗り、歩いて数分のコンビニではなく、結局隣の市に入る一歩手前のコンビニに向かった。


目的のコンビニに到着し、弾む胸を踊らせ貰ったパーカーの裾を引っ張り


“見て見て”といわんばかりに周りを見渡す。


「誰かいないかな~」


周りを見渡す限り外どころか店内に入っても客は一人もいなく、あたし達二人と女の店員のみで、見せて回るつもりがこれでは来損だ。


「ちくしょう。なんなんだよ」


テンションは下がる一方で独り言をぶつぶつ呟き、店内を歩いていると


「お菓子い~っぱい買うんだろ?」


悠希はオレンジ色の買い物カゴを手に持ち、肩を上げ下げしてクスクス笑い出した。


「よっしゃ!いっぱい買う!」


遊び心に火を着けたら止まらない。


人がいなかった不満もぶつけ、手当たり次第満杯になるまで商品をカゴにぶち込んだ。


大好きな板チョコ、新発売のスナック菓子、定番のポッキー…


手に触れたものは全て自動でカゴ行きになり、似た種類を鷲掴みしては店内を小走りに歩く。


お菓子


お菓子


お菓子…


みるみるうちにカゴはお菓子で山になり、手で抑えつけてもずり落ち、しぶしぶ数個戻す。


「お前やりすぎじゃねえか?」


「い~い~の!」


「待てって」


「うっさい!悠希はあっち行けぇい」


呆れ顔の悠希を放っておき、あたしはカゴを横から奪い、レジに持っていった。