いびつで不格好なバナナをホークで刺し、一口食べたら甘さが口いっぱいに広がる。


普段と同じバナナが別物にさえ感じてしまう。


「うん。おいしい~」


「だろっ!風邪にはフルーツとヨーグルト。歩ちゃ~ん。俺にも一口くれよ~」


「はい。あ~ん」


甘えた声で口を開けている悠希の口にりんごを放り込むと


「やっぱうめぇな」


いい笑顔がひときわ輝いてて、とても可愛い。


あたしが好意に甘え、愛情と優しさの詰まったヨーグルトをしっかり食べている間、悠希は手際よく水を持ってきた。


「薬飲んで早く元気になれ!」


そう言うなり突然唇にキスされ、あたしは驚いてしまい、悠希の体を押し戻した。


「なっ、風邪移るからやめろよ!」


「別にいいも~ん。移せよ移せ」


「いやマジ移るって!」


「お前がラクになるなら、そんな菌俺が貰ってやる」


怒鳴りつけても微動だにせず、小刻みに何度もキスしてくる悠希。


ふざけた感じがなんともいえなく、胸がキュンキュンする。


あたしも結局折れて、小刻みなキスを何度も受け入れ、口元を緩ませた。