院内は暖房で暖かくセッティングされてるのに、しっかり包まれた手が微かに震えてて、悠希の手は冷たかった。


「悠希、ごめん。ごめんな。本当にごめんなさい」


迷惑ばかりかけるダメな自分が情けなくなり、悠希を見つめあたしは大粒の涙が溢れ出し、声を震わせ謝り続けた。


「馬鹿。いいんだよ。歩は具合いが悪いんだから仕方ないんだ。俺が隣にいる。大丈夫。なっ」


悠希の目元は涙を流した跡で赤みがある。


見えない場所で


きっと泣いていた。


複雑な気持ちで悠希の顔を観察していたら突然


悠希も声を振るわせ目の前で泣き出した。


「ゆっくり寝な。疲れたろ」


「悠希?」


「歩、ごめん。俺…」


「えっ、ちょっ、悠希?」


「俺、やっぱすっげぇお前好きだわ…どうしようもねぇ…」


あたしに負けない量の涙を流す悠希。


身も心も疲れているはずなのに、くたびれた表情は見せず、涙声であたしの頬に手を添え、優しく撫で語り出した。


「手がかかるしワガママだし強気だしどうしよもない女だけど、なんでこんな好きなんだろうな」


「酷い言い方。けなしまくりじゃん」


「だな。手がかかり過ぎて俺おかしくなったんだな」


話ながらもしっかり落ち着くまで悠希はずっと手を握り、ベッドの隣にいる。


過呼吸は一時的なもので話している間、手足の痺れはいつの間にか消えていた。