好きだから別れて

“死ぬのが怖い”


節々の痛みと浮遊感が煽る恐怖心。


死ぬ思考へ急激に結びつく頭。


寂しい。


苦しい。


あたしは人に頼っちゃダメなんだ。


色んな思いが駆け巡りだしてしまった。


「きつい…痛い」


喉に異物がある。


いや。


全く異物などないのにある感じで呼吸が苦しくなり、酸素が足りない気がした。


「歩?」


「あっ。苦しい…」


「おい!どうした!?歩!歩!」


悠希は異変に気付き、運転しながらあたしに声をひたすらかけてくる。


死ぬ!


死ぬ!


あたしの中の壊れた歯車は互いが交わらずとも回転を速める。


考えれば考えるなり加速し、呼吸も一緒に速くなる。


止められない。


止まらない!


「く、くるしいぃ!」


手足にピリピリ電気が走り、もがいては息を吸う。


吸えば吸うなり体が硬直し始め、まるで鉛のようになりだした。


「痛い!痛いよ!」


「おい!歩!!もうちょいだ、頑張れ!」


悠希の声はちゃんと聞こえているのに


大好きな声は聞こえているのに、それすら打ち消す激しい痛み。


「あああっ!痛い!くるひいぃぃ」


完璧に体はカチカチで、指すら曲げれない。


言葉では表現しきれない痛烈な痛みが体を支配する。


「歩!歩!」


「ああっ!死んじゃう!怖い、苦しい、痛い、痛いよ!!」


悲鳴をあげ続け、懸命に声をかけてくれる悠希の想いはあたしには届かず、止められない状態まで頭は狂っていた。


「もう着いた!そっち行くから!」


悠希は外に出て助手席側に周り、あたしの体が浮いたと思うと、お姫様抱っこをして抱え込んだ。