うながされるままジャージ姿に軽く上着を羽織り、外に出る準備を整える。


「ほら、大丈夫か?」


「えっ、うん」


悠希は手で腰を支えてくれ、あたしも悠希の気配りに甘えて身を預け、車に乗り込んだ。


「ラクにしとけ。んじゃ飛ばすぞ」


声を合図に車は猛スピードで走り出す。


飛ばす車から見える冬を感じさせる景色は寒々としていて、激しく流れる景色に目が追いつかない。


皮張りのシートのひんやり感。


すぐには暖まりきらない車内で体は冷えていく。


一分一分時間が経つにつれ、熱のせいか体の節々が痛みだし、どことなく浮遊感が襲い、変な感覚がした。


フワフワ


フワフワする。


あたし死ぬんかな…死にたくない。死にたくない


そう考えた時だ。


「歩」が抱えていた長い長い戦いのスイッチが押されてしまったのは…