「おい!歩、どうした!?」


「あのね。い、今、男、襲われ…あっ。客、襲われそうに…」


気が動転して説明どころかうまく話せない。


苦しい。


息も心もなにもかもが苦しい。


「はぁあ!?ちょ、待ってろ!すぐ行く!つか、そいつ今いんのか!?お前大丈夫なのか!?」


悠希は怒りをあらわにし、興奮で早口になり、答えを求めてくる。


「だいじょ、いない。襲われかけただけ…もういない。大丈夫…」


「まずいいや!飛ばしてくから待ってろ!」


…ツーッツーッ


「悠希お願い…歩、助けてよ…助けてよ!もういやぁあああ」


その場から一歩も動けず、切られた携帯を握りしめ、あたしはうずくまって大声をあげ泣き出した。


もう本当、嫌だ。


お願い悠希、一人にしないで


あたしを一人にしないで!


そう願いながら子供みたいにワンワン大声をあげて泣いた。