「外がカリカリなのに中は、ジュワッと肉汁が出て旨い。
美紀子叔母さんより旨くないか?」

「ちょっと……それどういう意味?」

翔馬君の言葉に美紀子さんは、すぐにツッコんだ。
そのやり取りが面白く笑えてしまった。
確かに祖母のカラアゲは、外がカリカリで
中身がジューシーだ。

すると一緒に笑っていた伊吹さんが私に
「でも人手足りなかったから助かったわ。
菜乃ちゃん。飾り付けも丁寧だし」と言って
褒めてくれた。

「本当ですか。ありがとうございます」

「確かに。翔馬君より上手よね」

「どういう意味だよ?それは……」

仕返しとばかりに美紀子さんは、そう言ってきた。
私達は、翔馬君のツッコミにまた笑った。
フフッ……楽しい。

そして楽しいお昼休みが終わると私と翔馬君は、
ホールの方を手伝った。美紀子さんに接客の仕方。
翔馬君には、ケーキの名前と箱の詰め方を
教えてもらった。とくにケーキの名前は、
長かったり覚えにくいものばかりだった。難しい。

「大丈夫よ。私達がサポートするから
やれるところからやりましょう」

美紀子さんは、優しい口調で言ってくれた。
すると幼稚園ぐらいの小さな子供を連れた女性客が
買いに来た。20代後半ぐらいだろうか?
女の子も髪をツインテールにしていて可愛らしい。

「いらっしゃいませ。菜乃ちゃん。
私が指示を出したケーキをトレーに入れてくれる?」

「あ、はい。」

私は、慌ててトレーとトングを持ってスタンバイした。
女性客は、子供をねだるのを確認しながら
ケーキを選んでいた。