翌日、言われた時間に橋へと向かうと、そこにはきれいな女のあやかしが一人立っていた。
いや、一見すれば人間とどこも変わらなく見えるその女はを惟子はジッと見つめた。

(この人が使い?)

そうは思うも、なにせ詳しいことは全く聞けずにいた惟子としては、簡単に声を掛けることはできなかった。

「あなたがお絹ですか?」

静かにきれいな声音で聞こえたその声に、惟子は頷くの忘れてそのあやかしをみつめていたことに気づいた。

怪しく、妖艶、そんな言葉がぴったりのそのあやかしは、自分のうなじに手を当てると小さくため息を付いた。

「お絹さん」

少し強く言われ、惟子はハッと意識を戻した。

(嫌だ。何を見とれているのよ私)

「はい」
少し上ずった声で答えると、そのあやかしはなんとも複雑な表情をうかべたような気がした。

翌日、言われた時間に橋へと向かうと、そこにはきれいな女のあやかしが一人立っていた。
いや、一見すれば人間とどこも変わらなく見えるその女はを惟子はジッと見つめた。

(この人が使い?)

そうは思うも、なにせ詳しいことは全く聞けずにいた惟子としては、簡単に声を掛けることはできなかった。

「あなたがお絹ですか?」

静かにきれいな声音で聞こえたその声に、惟子は頷くの忘れてそのあやかしをみつめていたことに気づいた。

怪しく、妖艶、そんな言葉がぴったりのそのあやかしは、自分のうなじに手を当てると小さくため息を付いた。

「お絹さん」

少し強く言われ、惟子はハッと意識を戻した。

(嫌だ。何を見とれているのよ私)

「はい」
少し上ずった声で答えると、そのあやかしはなんとも複雑な表情をうかべたような気がした。
橋の淵にもたれ掛かると、九蘭は微笑を浮かべながら惟子を見据えた。

(どうする? 私。絶対このあやかしは危険)

惟子はごくりと唾を飲み込むと、思案しながら無意識に胸元のサトリからもらった石と、指輪を着物の上から握りしめる。

そうすると今度ははっきりとその場所が温かくなるのを感じた。
自分の力とサトリの力が混ざり合うのを確かに感じた。

「行くわ」

惟子はそう覚悟を決めると、しっかりと九蘭を見据え返した。