「朔は……千年に一度現れる奇跡の魂が欲しいだけで、私が好きだから嫁にしたわけじゃないんでしょ。私、愛のない結婚はいたしません!」
きっぱりと宣言して立ち上がった私は「失礼しました」と部屋を出た。
来た道を思い出しながら、吊灯篭に照らされた黄金の鯉が泳ぐ池沿いの廊下を歩く。
夜空には流れ星がいくつも流れていて、思わず目を奪われた。
なにより水上に浮かぶ神宮なんて幻想的だ。
ここに連れてこられたときは景色を見る暇もなかったので、改めて浮世離れした世界を眺めた。
――ここが、神様の世界なんだ……。
「待って、雅様ーっ」
後ろからパタパタと足音が聞こえて振り返ると、白くんが目に涙を浮かべながら駆け寄ってくる。
「白くん?」
「まだいてくれたーっ、よかった!」
白くんはぎゅっと私の腕に抱き着くと、上目遣いで見上げてきた。
その必死な表情は捨てられた子犬のようで、胸がしめつけられる。
「朔様は千年も生きてきて、花嫁を迎えるのは雅様が初めてなんだ。だから、愛がないなんて、そんなことないと思うよ!」
「でも……私にはどうしても、朔が私のことを好きだとは思えないの」
「僕もどうして雅様なのか、朔様に聞いても教えてくれないからわからないけど、絶対に理由があるはずだよ」
一生懸命に私たちの仲を取り持とうとする白くんは、朔のことが大好きなんだろう。
それを微笑ましく思う一方で、困っているのも事実だった。
きっぱりと宣言して立ち上がった私は「失礼しました」と部屋を出た。
来た道を思い出しながら、吊灯篭に照らされた黄金の鯉が泳ぐ池沿いの廊下を歩く。
夜空には流れ星がいくつも流れていて、思わず目を奪われた。
なにより水上に浮かぶ神宮なんて幻想的だ。
ここに連れてこられたときは景色を見る暇もなかったので、改めて浮世離れした世界を眺めた。
――ここが、神様の世界なんだ……。
「待って、雅様ーっ」
後ろからパタパタと足音が聞こえて振り返ると、白くんが目に涙を浮かべながら駆け寄ってくる。
「白くん?」
「まだいてくれたーっ、よかった!」
白くんはぎゅっと私の腕に抱き着くと、上目遣いで見上げてきた。
その必死な表情は捨てられた子犬のようで、胸がしめつけられる。
「朔様は千年も生きてきて、花嫁を迎えるのは雅様が初めてなんだ。だから、愛がないなんて、そんなことないと思うよ!」
「でも……私にはどうしても、朔が私のことを好きだとは思えないの」
「僕もどうして雅様なのか、朔様に聞いても教えてくれないからわからないけど、絶対に理由があるはずだよ」
一生懸命に私たちの仲を取り持とうとする白くんは、朔のことが大好きなんだろう。
それを微笑ましく思う一方で、困っているのも事実だった。