「僕たちは年上なんだから、雅様を大事に守ってあげないと!」

「年上? 白くんっていったいいくつなの?」


 私が幼い頃に会った神様やあやかしたちは、だいたいが今も変わらず若さを保っている。

見た目は小学生でも、あやかしや神様は人間とは寿命も老いるスピードも違うのだ。

 けれど白くんは見た目も話し方も子供みたいに愛らしいので、年上だなんてどうしても信じられなかった。


「うん? 僕と兄さんはだいたい五百歳くらいで、朔様は千歳を超えてるよ!」

「ごひゃっ……せっ、千歳ぃぃ!?」


 私、朔たちが生きている間に何回生まれ変われるんだろう。

 人間の寿命とは次元が違いすぎて、口が半開きになってしまう。そんな私を見た朔が「間抜けな顔だな」と鼻で笑った。

 本当に、この人はなんで私を嫁にしたんだろう。

 そう疑問に思うほど、朔の態度からは私への愛情なんて微塵も感じられない。

ますます私を嫁に迎えた奉り神に不信感を抱いていると、黒さんが朔のそばまで歩いていって片膝をつく。


「朔様、雅様に例の件は説明されましたか?」


 私のときと、ずいぶん態度が違うんだな。

 恭しく頭を垂れる黒さんに、自分がいかに嫌われているのかを痛感した私は再び気分が沈みそうになる。

 朔は黒さんをちらっと見て腕を組むと、顎で私をしゃくってみせた。