「ギャアアアーッ」

 悲鳴をあげて、煙のように消えていった。

「し、死んじゃったの?」

「おかしなことを言う。あやかしや神に『死』という概念はない。あるとすれば『消滅』だけだ」

「それって結局、死ぬってことなんじゃ……」

「世界から消える、という意味では同じだな。案ずるな、俺はあやつらをあやかしの住まう常世に還しただけだ」

「そ、そうなんだ。よかった……」


 あやかしにはひどい目に遭わされているけれど、こんな私にも気兼ねなく話しかけてくれる存在だ。

子供の頃もよく遊んでもらったし、守ってもらった。

優しい一面も知っているから、消滅させられてしまうのはやっぱりかわいそうだと思う。

 悪さばかりするのに、憎めないんだよね。

 苦笑いしていると、神様は呆れた顔をする。


「殺されかけたというのに、愚かなほど甘いな。お人好しも大概にしろ」

「初対面の人……神様にそこまで言われる筋合いありません」

 大概にしろと言われましても。

私があやかしや神様とどんな関係を築いてきたかも知らないのに、勝手なことを言わないでほしい。

でも、助けてもらった手前、言い返すのはやめた。

 そんな私に、神様はため息をつく。