いつからだったのか、きっと物心つく前から、私には人ならざる者が見えていた。
そう、あれは確か小学四年生の頃、暑い夏の日の放課後のこと――。
『おい、お前! うまそうな匂いがするな!』
足元から声が聞こえて視線を落とすと、ひとつ目で尻尾が四本もある猫が私を見上げていた。これは〝あやかし〟だ。
前に本人が名乗っていたので知っている。
『肉どころか骨も残らないくらい、貪り食ってやる! どうだ、怖いだろ~』
あやかしは四本の尻尾をゆらゆらと揺らし、まるで私の反応を楽しむようにニタニタと笑って、恐ろしいことを次々と口走っている。
なのに、私は目の前のあやかしが全然怖くなかった。
人間と違って、あやかしは思っていることや企んでいることをはっきり言葉にしてくれるから。
『私を食べるの?』
しゃがみ込んであやかしに尋ねれば、『当然だろう!』と返ってくる。
どうしよう、痛いのは嫌だな。
うーん、とうなりながら悩んでいると、ふと下駄箱の中に嫌がらせで大量に詰め込まれていた棒状のスナック菓子の存在を思い出す。
そうだ、あれだ!
私はランドセルを下ろして蓋を開けると、中から大量にある【さんま納豆ミックス】味のスナック菓子を取り出した。
そう、あれは確か小学四年生の頃、暑い夏の日の放課後のこと――。
『おい、お前! うまそうな匂いがするな!』
足元から声が聞こえて視線を落とすと、ひとつ目で尻尾が四本もある猫が私を見上げていた。これは〝あやかし〟だ。
前に本人が名乗っていたので知っている。
『肉どころか骨も残らないくらい、貪り食ってやる! どうだ、怖いだろ~』
あやかしは四本の尻尾をゆらゆらと揺らし、まるで私の反応を楽しむようにニタニタと笑って、恐ろしいことを次々と口走っている。
なのに、私は目の前のあやかしが全然怖くなかった。
人間と違って、あやかしは思っていることや企んでいることをはっきり言葉にしてくれるから。
『私を食べるの?』
しゃがみ込んであやかしに尋ねれば、『当然だろう!』と返ってくる。
どうしよう、痛いのは嫌だな。
うーん、とうなりながら悩んでいると、ふと下駄箱の中に嫌がらせで大量に詰め込まれていた棒状のスナック菓子の存在を思い出す。
そうだ、あれだ!
私はランドセルを下ろして蓋を開けると、中から大量にある【さんま納豆ミックス】味のスナック菓子を取り出した。