「あなたたち、こんな遅くになにしてるの!」

 石を投げた子たちを咎めると、地面に蹲っていた男の子が涙目で私を見上げる。

「僕が……普通じゃないから、みんながいじめるんだ」

「普通じゃ、ない……?」


 胸がざわりとする。

普通じゃない、おかしい、気味が悪い。

そういった人格を否定するような単語には、敏感になっていた。


「あやかしとか、神様が見えるから。だから、みんなが僕を気味悪がる。やっぱり僕、おかしいのかな」


 そっか、この子にも見えるんだ。

他の人には見えないものが見えてしまうだけなのに、『お前はおかしい』と欠陥品みたいに扱われる。私と同じだ。


「こういうとき……」


 世界から突き放されたような気がして、自分という存在がひどく無価値に思えたとき、私は周りになんて言ってほしかったんだろう。


「……おかしくなんて、ないよ」


 ああ、そうだ。
きっとこう言ってほしかったんだ。

普通と違っても、それでもいいんだよって、ありのままの私を愛してほしかったんだ。

 でも、現実はそんなに甘くなくて、私はずっと孤独だった。

それでも私を支えてくれた存在がいる。

 私は地べたに座り込んでいる男の子に自分を重ねながら、ゆっくりと歩み寄った。